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蘆塚のそばには、槍を強く握りしめた伝助が立っている。
彼も昨日の激戦から、なんとか生き延びていた。
『大丈夫か?伝助。
わしの側を決して離れるでないぞ』
『だ、大丈夫ですだ。
オラが、蘆塚様を必ずお守り致しますだ。
武士は、みんなひどい奴ばっかだと思っていたけど、蘆塚様や、四郎様や、他の浪人の人達は違った!
オラ達を……、オラ達農民を……、同じ人間として扱ってくれただ!
幕府相手に対等に戦えたなんて、オラ本当に嬉しかった。
四郎様や、蘆塚様のために、この命捧げるのなら悔いはねえ!』
『嬉しいことを言ってくれるのう、伝助。
わしのことは気にせず、自分の命を守ることだけを考えよ。
来るぞ……』
蘆塚がヌラリと刀を抜いた。
バンッ!!
本丸の城門が、ついに破壊された。
幕府軍が、雪崩をうったように本丸の中へと進入して来た。
『やああああああ!』
蘆塚が雄叫びをあげながら、真っ先に敵陣に突っ込んでいく。
伝助も、それに負けじと続く。
原城の本丸にいる者達は、最後の力を振り絞って、幕府軍に突撃していった。
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