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蘆塚は、伝助の止血を懸命におこないながら、必死に話し始めた。
『ああ、あるとも!
天国はあるぞ、伝助!
天国に行けば、必ず嫁と子供に会えるぞ!
わしは、確かに四郎殿から聞いたのだ!』
(死んだ後の世界があるかどうかなど、正直わしにはわからぬ……。
しかし、天国というものが無ければ、あまりにもむごすぎる。
そうでなければ、この島原で死んだ者達が報われぬ。
彼らは、この世の幸せなど、一切知ることなく死んでいったのだぞ!
彼らが天国で報われなければ、やってられぬ!
やってられぬではないか)
『よ……、良かった。
キ……キヌ、太助……。
今から……父ちゃん……』
伝助から、それに続く言葉が出てくることはもうなかった。
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