第一章 オワリノハジマリ

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「異聞堂」は、オカルトを専門的に扱う出版社である。 各地の心霊スポットを巡ったり、巷(ちまた)で噂される都市伝説の検証などを行っている。 夏が近くなると、コンビニに、DVD付きで1000円ぐらいで売られているような、そのようなたぐいの雑誌を作っている。 大手出版社の本社政治部勤務といえば、記者の中でも花形の部署である。 それほどの地位まで登りつめた男が、地方の聞いたこともないような出版社に出向を命じられたのだ。 それは事実上、左遷と言ってもよい処置だった。
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