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泣いている者までいるではないか。
「どうしたの?
何かあったの?」
状況を把握するべく、近くにいた女子に話しかける。
「あ、野呂君!
大変なの!」
「大変?何が?」
「あのね――」
今朝早く、校庭に植えた木々の手入れをしていた用務員。
兎小屋の前を通ろうとすると、扉が開け放してあるのに気が付いた。
兎が逃げてしまうと思い、急いで扉を閉めようと手をかけたのだが。
彼の目に映った小屋の中は、目を背けたくなるような悲惨な現場と化していた……。
女子の話をまとめると、こういうことだった。
「多分、野良犬か何かにやられ
たんだろうって。太郎と花子、
ぐちゃぐちゃになってたんだ
って……。怖かったよね?痛
かったよね?昨日の当番が扉
をちゃんと閉めてれば死なず
に済んだのに……」
女子は言いながら、大粒の涙を流した。
(殺した……!?
僕が……!?)
野呂は言葉を失った。
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