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今更自分がやったなどと、口が裂けても言えなくなっていた。
言ったが最後、彼は全員からどんな仕打ちを受けるのか。
悩んでいる間も、立川への非難の雨は続いていた。
「――おい、どういう
ことなんだよ!?」
トイレに引っ張り込んで詰め寄る立川に、野呂は涙ながらに全てを告白した。
不注意で鍵を閉め忘れたが為に、兎が野良犬に殺されてしまったのだと。
「そういうことか……。
皆にちゃんと謝れよ。
俺も手伝うから。
きっと許してくれるさ」
立川の慰めに、野呂は虚ろな瞳で力無く頷いた。
本来であれば笑い声の絶えない朝のホームルームなのだが、
「皆ももう知ってると思うけど、
太郎と花子が……」
いつもの陽気な女性の担任教師の声が、今日は低い。
生徒達の啜り泣く声は止まず、教室の空気を一段と重苦しいものにしていた。
「先生! 犯人は立川君です!
鍵を掛け忘れなければ太郎と
花子は……酷い……!」
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