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許してもらえずに虐められても、きっと大丈夫だ。
野呂には立川がいるのだから。
親友の立川が。
しかし、野呂の口をついて出てきたのは別の台詞だった。
「僕、やってません」
立川は信じられないというように目を見開いた。
「なっ何言ってんだよ……!?
昨日頼んだじゃん! さっき
トイレ行った時、自分がやっ
たって言ったよな!? 何で
嘘つくんだよっ!」
「野呂君になすりつける
つもり!?」
「土下座しろ!」
クラスメートから野次が飛ぶ。
「……そっそうだ、鍵だ!
野呂は鍵を持ってるんだ!
それが証拠だよ!」
立川の言葉に、野呂の心臓は飛び出しそうな程に跳ねた。
素直に白状していれば良かったと後悔したが、時既に遅し。
一度嘘をついてしまった手前、もう引き下がれない。
窮地に追いやられた絶体絶命の彼に、悪魔が囁いた。
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