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「こんだけしか持ってねぇの
かよ!?これじゃあ遊びにも
行けねぇじゃん!」
「ごっごめんなさい……!」
此処は、人目につかない薄暗い路地裏。
現在カツアゲの真っ最中である。
金を巻き上げているのは“立川 信吾(タチカワ シンゴ)”、高校1年生。
鍛え上げられた肉体と派手な外見を武器に、高校では一際目を引く存在だ。
一方、財布を没収されたのは同じクラスの“野呂 誠(ノロ マコト)”。
制服を着ていなければ中学1年生と見間違えてしまう程童顔で、背丈は低く、とても内気な少年だった。
圧倒的な力の差のある立川に言い返すなど、間違っても出来る筈がない。
理由は他にもあるのだが……。
野呂には少数ながら友人と呼べる者はいたが、立川に目を付けられてからというもの、一人、また一人と彼の元を去っていった。
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