776人が本棚に入れています
本棚に追加
/107ページ
結果、誰にも相談できず、庇ってくれる者もいない。
彼は孤独だった。
「明日こそ持ってこなかったら
どうなるか分かってるよな?」
立川は財布から二千円全額を抜き取ると、野呂の前に差し出しながら、震える肩に肘を置いた。
「で、でも、
もうお金がないんだ……」
怯える野呂を見下ろしながら、立川は嘲笑う。
「金が無かったらバイトでも
なんでもして作ってこいよ!
ま、お前なんか雇ってくれる
所があるとは思えねぇけどな」
「そんな――」
「お?逆らう気か?」
毎日のように野呂にたかる立川。
苛々すると野呂をサンドバッグに見立て、殴る蹴るの暴行に及ぶ。
お陰で野呂の制服の下には、無数の生々しい傷が隠されていた。
それは罪の印。
過ちを犯した野呂への罰。
最初のコメントを投稿しよう!