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飼育委員は決めず、学年全体で交代で世話をする。
やんちゃな太郎と大人しい花子は、皆に可愛がられていたのだった。
その日は立川が当番だったが用事があった為に、野呂に交代してくれるよう頼んだ。
予定のなかった野呂は快く受け入れ、放課後、夕日に照らされて橙色に染まる兎小屋へ向かった。
床に散らばった糞や食べ粕を丁寧に箒で掃き、餌を与え、飲み水を汲む。
兎達は仲良く隅に寄り添い、邪魔をすることはなかった。
「……ふぅ、
やっと終わったぁ」
額の汗を拭いながら立ち上がった頃には、校庭には生徒の姿はなかった。
余程集中していたのか辺りは既に暗くなっており、外灯が点っている。
校舎の壁に嵌められた時計が、掃除を始めてから既に一時間が経過していることを知らせていた。
「もうこんな時間!?
帰らなきゃ!」
焦った野呂はランドセルを背負うと、慌ただしく家に帰っていった。
翌日、野呂が登校すると、教室がいつもに増して騒がしかった。
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