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寮の玄関には下駄箱があって、靴を脱いで、スリッパ、もしくは中靴を使用するらしい。美菜は隣で中靴にはきかえていた。
たいていの人は中靴を使用しているとのように聞いていたので、俺も中靴にはきかえる。
やはり新学期前日だからだろうか、寮のなかにはすでにたくさんの女生徒らしき姿が見られる。制服を着てないからよくわからんが…
それより…
「み、美菜…」
「なに?」
「なんだか凄い視線が集まってないか?」
「当たり前でしょ、この学園唯一の男だよ?」
「唯一って…もしかして先生にも男はいないの?」
「とーぜん、居たら警察に直行だよ」
「はは…、先行き不安になってくる…」
「大丈夫だって!棗は自信持っていいんだよ。何たって…その、カッコイイんだし」
「そう…なのかな」
きっと美菜は俺のことを勇気づけようとしてくれているんだ。
俺はそう思い、微笑した。
「ここが棗の部屋、136号室。…これが鍵ね」
そう言われて一つの鍵を受け取る。
「絶対なくしたらだめだよ?ものすごく怒られるから」
「そんな忠告されなくても無くしたりなんかしないよ」
俺は笑ってそう言った。
「それで、これからどうする?もし良かったら寮の中を案内するけど…」
「いや、長旅で疲れから休むことにするよ」
「そう…じゃ、何かあったらメールか電話してね」
「おう、ありがとな…」
「あ、そうだ…私の部屋は139号室だから、いつでも遊びにきてね」
美菜はそう言って、去っていった。
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