出会い。そして苦悩。

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 なんと、雄大の個展のお知らせのペーパーだったのだ。 (いつの間に!)  しかも右下にはしっかりと手書きで連絡先が書かれている。  多分、雄大個人の連絡先だろう。  知り合ってから度々『連絡先を教えてくれよ。』とは聞かれていたが、さすがに家の電話を教えるわけにはいかない。  だからずっと拒否をしていたのに、雄大は諦めていなかったらしい。 「何だかな・・・。」  呆気を通り越して、笑いが込み上げてくる。  右京は笑いながらペーパーを二つ折りにすると、机の引き出しに入れた。  引き出しを元に戻したのと同時に、下から母親の声が聞こえた。  どうやら夕飯の支度が出来たのだろう。  返事をして、右京は部屋へと出る。  そしてその日は、久々に四人が揃ったので、会話がいつも以上に盛り上がった。  右京は工房の話を。  貴之はバイト先での面白いスタッフの話を。  二人から話を聞いて、両親は笑い過ぎて、ご飯を食べる手を止めていた。  今日の夕飯は、貴之の大好きな厚焼き玉子と、右京が大好きな煮魚だ。  本当は唐揚げだけにしようと思っていたが、二人が一緒にご飯を食べるということで、急遽変更をしたのだ。  大満足で夕飯が終わり、貴之と右京はそれぞれの部屋に戻った。  明日の準備をして、交代でお風呂に入る。  先にお風呂を入った右京は、ベッドの上で雑誌を読んでいると、トントンとノックの音が聞こえた。 「はい?」  雑誌を読みながら、右京が返事をする。 「右京?今、いいか?」  声の主は貴之だった。  右京は驚きながらも雑誌を閉じて、ベッドから降りるとドアを開けた。  開けると、そこにはお風呂上りの貴之が立っている。 「どうした?」 「いや・・・。お前の顔が見たかっただけ。お休み。」 「ああ。お休み・・・。」  ニコッと笑い、貴之は部屋へと戻っていく。  彼のおかしな様子に、右京は首を傾げながら、ドアを閉めたのである。
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