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「貴之?」
「俺は許せない!もし、知り合いや友達にそういう奴がいたら、縁を切ってやりたい!」
(貴之!)
決定打だ。
想いを寄せている人からの拒絶の言葉。
まるで、右京の心を見透かしているかのような、本音だ。
貴之は同性愛を許せない人種だと知り、右京はショックを受けた。
ガラガラと、脳裏の奥で何かが崩れていく音が聞こえる。
絶望的だ。
貴之に、自分の想いを告げられない。
いや、告げてはいけないのだ。
言ったら最後、友情は消滅してしまう。
(お前は、俺を拒絶するんだな。)
この時、この瞬間、右京は貴之に失恋をした。
決して告げられない、苦い恋。
告げたら最後、関係が崩れてしまう。
あそこまで否定する彼に、多分何を言っても耳を傾けることはないのだろう。
右京はただ、表情を凍りつかせた状態で彼の背中を見つめているだけしか、出来ずにいた。
出来ずに、いた・・・・。
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