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「なんだよ…この音?」
皆が疑問に思う中、ブザー音はお構いなしといった感じで、段々とその音量を増して大きくなっていく。
何よこれ?頭が痛くなる。
恭子はブザー音が鳴り響く、小さな穴を睨み付けた。
するとブザー音は、何事もなかったかの様に、ピタリと鳴り止んだ。
一体なんだったんだろ?
ブザー音が止んだと思った数秒後、今度は扉の方から金属の掠れるた音がした。
そう。それは鍵を開け閉めする時のそれに似ていた。
今度は何?…扉から音?
まさかね…
呆然とする十人…
しばらくして、一人の男が扉に手をかけた。
一同が見守る中、男は扉をゆっくりと引く…すると先程までびくともしなかった扉は、金属が掠れる耳障りな音を出しながら、ゆっくりと開き始めた。
おっ?ドア開いたじゃん!
ラッキーこれで帰れる!
恭子を含め全員がそう思っていた。
開いた扉の向こうには長い階段…
この先が出口なのか…?
「やっと帰れますね」
十人の中の一人が、恭子にそう言って話かけてきた。
ゆるいパーマがかった髪に、優しそうな顔達…
わぁ…顔整った男の人だなぁ…
それが恭子の、男への第一印章だった。
「そうですね」
何時間も変な部屋に、知らない人達と監禁されていた恭子にとって話かけられた事が堪らなく嬉しかった。
「俺、佐野浩太。よろしくね」
佐野浩太と名乗った男は、恭子を安心させようとしたのか、笑顔でそう言った。
「私は、金原恭子」
恭子も浩太に負けないくらいの笑顔で名乗った。
「なんだこれ?」
不意に一人の男がそう言った。
男が見つめる先は階段の壁。
恭子も壁を見る。
あれ?なんか書いてある?え~なになに…
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