三つ葉のクローバー

6/36
前へ
/36ページ
次へ
しんと静まり返る夕方の図書館に身を任せ、私は黙々と勉強に励んだ。 後ろにある窓からオレンジ色の光が差し込み私の背中を照らす。 夕日はどこか寂しげで、今日という二度とない一日を惜しんでいるかのように思えた。 私も少し切なくなった。 「落ちましたよ」 「へ!?」 私は夕日に引き込まれ、ぼーとしていた。 どうやら気付かぬ間に消しゴムを落としていたようだ。 「あ、すみません。 ありがとうございます」 拾ってくれた相手に感謝を告げ、消しゴムを受け取った。 普通ならここまでだが、彼は違った。 「夕日って見てると切なくなりません?」 彼は更に話しかけてきた。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加