282人が本棚に入れています
本棚に追加
「敵の数は約二十人程度、十分魔槍隊で撃退できる人数だった…。だが魔術隊が駆け付けた時は、既に壊滅状態になっていた。なんとか撃退する事には成功したのだが…魔術隊も多数の死傷者を出してしまった…」
そこまで言って、オーディンは目を綴じる。そして暫く沈黙した後、目を開き話を続けた。
「私はこの件、おそらく奴の仕業だと考えている」
「…!!まさか…」
フレイは暫く考えた後、正体に気付きオーディンに視線を向ける。
オーディンは一度頷き、口を開いた。
「ああ…おそらくヴァルキリーだ」
ヴァルキリー。
最近現れた、光軍の兵士の事である。その戦う美しさと、鬼人の如くの強さからヴァルキリーとゆう異名が付けられた。
「ヘイムダルが殺られたとなると…奴に対抗できる者は限られてくるな…」
オーディンはそう言って、フレイを見つめる。
フレイはその視線から逃れるように、額から汗を流しながら目を逸らした。
「フレイよ、ヴァルキリーを――」
「断る!!」
フレイはオーディンの言葉を遮り、言った。
「どうして俺が、そんな面倒臭い事をしなくちゃならないんだ!!」
フレイはオーディンに詰め寄り、怒鳴るように言う。
オーディンはそんなフレイを見て、溜め息を吐いた。
最初のコメントを投稿しよう!