30人が本棚に入れています
本棚に追加
その日、街は真っ白な雪で覆われていた。
僕は目の前にのびるS字坂を上ってゆく。
口許を手でおおった。
白い息がこぼれる。
今から≪起こること≫を想像してみる。
みんな驚くだろうか。
そんなヒマないかもしれない。でも一一
まさか、
自分の身に起こるなんて。
そう思うに違いない。
誰も想像していない。
誰も対処できない。
雪が舞い上がって。
きらきら光って。
それで。
右手を見る。
住宅地がひろがっていた。電信柱のむこうに桜の木が並んでいる。
僕は学校へと向かう。
正門が見えた。
今から≪起こること≫
それはあとすこしで始まるだろう。
すでに準備は出来ている。
最初のコメントを投稿しよう!