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「うるさいわよ。」
ラビの顔をのける際、
べしっといい音がした。
「ぃ、痛いですぅー。アリス。」
歳は多分、自分よりは上のはずだ二十歳か、それより上か。
とにかく、そんな男が…甘い声を出して涙目に見上げてくる様子はキモイ。
顔は端整なので、黙っていればかっこいいとは思うんだけど。
「アリス、もしかして一人で寂しいんですか?」
反応するように、胸がドキリと鳴った。
「な…何言ってるの!?そんなわけないでしょ!一人の方が楽よ。…色々とね。」
ムキになっているように聞こえるのが癪だ。
「そっかぁーよかった。なら、一人でも大丈夫ですよね?」
「何がよ?」
「え?だって、アリスの時計壊れちゃったから修理しなきゃだめでしょう?」
そう言ってラビは私に時計を差し出す。
まだ、こいつそんなこと言ってるの?
正直、その時計を手にしたくなかった。第一、この時計が私の死と関係しているなんて馬鹿げてる。
することもなくじっとラビが持つ時計を見ているとラビが仕方ないと言わんばかりにため息をついた。
「……仕方ないですね。」
カチャリ
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