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雨は次第に強くなってきた。窓に当たる音が煩い。
「………。」
なんだか、苛々してくる。早く止まないかな?
―――アリス…
突然、私を呼ぶ声に振り向いた。
しかし、自分をそんな風に呼ぶ人間は今は皆留守のはずだ。
お手伝いさんは皆、私を様付けする。
おかしいな。けど、すぐに気のせいだろうと思いベッドに仰向けになった。
―――アリス…
キィィィ――ン!!!
突如、耳鳴りがして耳を塞ぐ。
何!?
誰かが自分を呼ぶ声。
幻聴が止まない。
夢でも見ているのか。
しかし、そんな夢を見るなんてこっちから願い下げだ。
「いっ!!!っっ!!」
痛みとともに目の前が真っ暗になる。
何も見えない。
同時に先程の声が頭に響いた。
――僕が…
見つけてあげたんだよ。
“迷子のアリス”
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