プロローグ

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鎮痛剤を一錠多く飲んだからって人は死なない。でも飲む事で心は死ぬ。なぜか胸だか、頭だかわからないけど、はちきれそうなこの痛みからちょっとは解放されるかなと思った。親、友達、恋人、仕事、タバコ、酒、ギャンブル、愛のない性行為。どれも私を必要となんてしてくれない。だって私すらが私を必要としてないんだから。 この世界に私がいる意味が見つからない。 「キイラ…ごめんね」 終った踏切の中に入り込み君がつぶやい声の空耳を、僕は授業中に聞いた気がした。そして、数時間後に君がどれだけ苦しんでいたのかを僕は君の死を持って知ることになった。 僕のせいで明日の君が死んだんだ。 だって知ってたんだ。 君が弱く、脆く、小さな子だって。 でも知らないフリをした 君が弱音を言わないから。 いや…そういえば、何度か言っていたっけ? 雨が降り出した墓の前で僕は体内の水分をすべて涙に変えてしまったように泣いた。
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