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降りしきる雨の中、俺はひたすら走っていた。
追手から逃れる為に何も考えず、街中を駆け巡っていた。
そして細い裏路地に駆け込み、壁に寄りかかりそのまま身体が崩れ落ちた。
「はぁ…はぁ…はぁ………何で俺があいつらに追われなきゃなんねぇんだよ……」
しばらく休んでいると右側からバイクのエンジン音が聞こえてきた。
乗っていた一人がこっちを見てきた。
そして俺を見つけると、
「いたぞ!!こっちだ!!!」
と大声で叫んだ。
「くそっ…もう見つかったか…」
俺は裏路地を抜け出し、また走りだした。
後ろから声を聞きつけた暴走族の仲間が追いかけてきていた。
「逃がさねぇぞ!」
「しつこいな‥どこまで追いかけくるつもりだよ…」
色々な道を走り抜けたが、逃げ切れる気配はない。
ふと周りを見渡すと、いつの間にか防波堤に来ていた。
そして振り返ってみると敵がいた。
完全に追い詰められたみたいだ。
「もう逃げられないな…」
一番先頭のバイクから金髪を逆立てた男が俺の方に近づいて来た。
そして俺の正面に立った。
「久しぶりだな、礼央奈。」
「軽々しく俺の名前を呼ぶな。お前とはそんな仲じゃねぇだろ。司。」
「冷たいな。それより俺の仲間が世話になったみたいだから、その礼にきてやったぜ。」
司の後ろを見ると30人くらいの暴走族が鉄パイプや金属バットなどの凶器を構えていた。
「その為に俺を追いかけ回してた訳か…族の頭ってのも暇なんだな。」
「調子こいてられんのも今のうちだぜ。いくら強いお前でもこの人数を1人じゃ無理だろ?」
「まあな。つーかいくらバカでも下校途中のところ狙わねぇだろ普通。ったく‥制服汚しやがって…」
「お前はいつも俺を見下すような事を言うよな…そこが気に入らないんだよ!てめえら!!!やっちまえ!!!!」
司が声を張り上げて言うとそれまで待機していた暴走族の仲間が一斉に俺の方へ向かってきた。
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