第一章

3/30

23人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
「さて…どうするかな……」 周りが海に囲まれた防波堤じゃ逃げ場はない。 しかも大雨のせいで海は大荒れだ。 落ちたら恐らく死ぬだろう。 考えているうちにナイフを持っている奴が3人俺に向かって切り付けてきた。 「めんどくせぇな…」 切り付けてきた奴の1人の顔を掴み、そのまま後頭部をコンクリートに叩きつけた。 そいつは脳震盪を起こしたみたいで気絶した。 次に、2人同時に突っ込んできた。 正面から来た奴の攻撃を避け、腹部に膝蹴りを入れた。 「……っ痛!」 後ろを見ると左腕から血が流れていて、ナイフの刺し傷があった。 「上等だ……」 そう言って俺は刺した奴の顔を思いっ切り蹴った。 左腕からはまだ血が流れている。 「やべぇな……」 そしてすかさず金属バットを横に突き出しバイクに乗った奴が突っ込んで来た。 それをバックステップで避けた瞬間、もう一台のバイクから投げられたナイフが右の太ももに刺さった。 そのせいで着地でバランスを崩し、俺は海の中へと転落した。 手と足を動かそうにも疲労と傷のせいで身体が動かない。 俺の身体はゆっくりと暗い海底に沈んでいく。 (俺、死ぬんだな……短い人生だったな…こんなことならもっとまともに生きるんだった‥今更後悔しても遅いか…………) 次第に意識が薄れていき、俺は死を覚悟し、目を閉じた。 どれくらい時間経っただろう… 俺は死んだのだろうか… 顔になにか水滴の様なものが当たる感覚がして、目が覚めた。 「……ここは‥どこだ?明らかに天国じゃないな‥だからって地獄って雰囲気でもねぇな…それに刺されたところも痛む‥俺は死んでないのか?」 とりあえず周りを見渡すと見たこともない木々が鬱蒼と生い茂り、昼か夜か分からないくらいだ。 「見たところ…森林みたいだな…」 しばらくすると何かの足音が聞こえてきた。 足を引きずりながら木の陰に隠れた。 段々と足音が大きくなり、一番近いところで止まった。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加