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気付かれないように覗いてみると、現実じゃあり得ない光景に驚愕した。
映画などで出て来るような妖怪みたいな生物の姿がそこにあった。
それに熊位の大きさだ。
「なんだよ…あれ……」
とにかく逃げようとして一歩踏み出した瞬間、足下にあった木の枝を踏んでしまい、音を立ててしまった。
それに気付いた妖怪が雄叫びを上げ、こっちに向かって走りだした。
「ちっ……こんなときに‥‥」
そして鋭く尖った爪で攻撃してきた。
それを体勢を低くして辛うじて避けることが出来た。
だが、それで右足のダメージが限界に達した。
次の攻撃が来たら避けることは無理だろう。
そして俺の頭をめがけて爪を振り下ろしてきた。
今度こそ確実に死んだ
そう思った時だった。
いきなりどこからか日傘を持ってドレスの様な服を着た長い金色の髪の女性が現れた。結構綺麗だった
そして瞬く間に妖怪を倒した。
「大丈夫?」
「見れば解るだろ。あんた誰だ?」
「相手に名前を尋ねるなら自分から名乗るのが礼儀ってものよ。」
「めんどくせぇな……俺は九条 礼央奈(くじょう れおな)。これでいいだろ。」
「生意気ね~。でも嫌いじゃないわよ。」
「いいからさっさとあんたの名前教えろよ。」
「私は紫。八雲 紫(やくもゆかり)よ。見たところ…あなたはここの世界の人間じゃないわね‥どこから来たの?」
「どこからって…」
俺はここに来るまでの事を全て話した。
「なるほどね…」
紫は納得したような表情をして言った。
「あり得ないだろ?」
「いや、あり得ないことではないわ。多分何らかの理由でここを覆っている大結界に支障があったか、時空が歪んだか…原因はたくさんあるわよ。」
正直、信じられる話ではなかった。
そして今一番聞きたかったことを聞くことにした。
「てか…ここはどこなんだ?」
「ここは幻想郷。人間とか妖怪などが暮らしている楽園のような世界よ。ちなみに今居るところは魔法の森。」
「へぇ~…あんたは人間なのか?」
「私は妖怪よ。」
見たところ普通の女性のような容姿なので、少し疑ってしまった。
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