23人が本棚に入れています
本棚に追加
「あんたらも妖怪なのか?」
「私達は妖怪と言うより式神ですよ。」
「式神…?」
いまいちよく解らなかった。
「簡単に言うと、主に仕える使い魔みたいなものです。」
「ふ~ん…あんなのが主なら仕える方も大変だな。」
「案外楽しいものですよ。」
「そうなのか…それより俺の服はどこだ?」
今まで下着一枚の状態だったので気になっていた。
「あるにはあるんですが…かなり酷くて着られる状態じゃないんですよ‥」
確かに。
あんな森の中ででたらめに動いたらボロボロになっても仕方ない。
「それじゃあ、代わりになる服とかないか?」
「それが‥この家に住んでるのは全員女性なもので、男性用の服はないんですよ。」
「そうか…困ったな‥」
「目が覚めたのね、礼央奈。調子はどう?」
いきなり隣から声がした。
「あんたかよ。いきなり出てくるなよ‥心臓に悪い。」
「せっかく見に来てあげたのに、冷たいわね。それと、私にもちゃんと名前があるんだから名前で呼んで頂戴。」
「紫様!普通に出てきて下さいよ‥」
「別にいいじゃない。それで何かあったの?藍。」
「その‥礼央奈さんの服のことなんですが‥」
「あれだけボロボロじゃ着れないものね~私に任せなさい。」
そう言って紫が手を伸ばすと空間が割けた。
そしてその中に手を入れた。
俺はその光景を呆然としてみていた。
「……俺は夢でも見てるのか?」
「あれは紫様の能力ですよ。紫様は境界を操る能力があるんです。」
「…この世界に住んでるやつはみんな能力があるのか?」
「よくわかりませんが…ある人の方が多いんじゃないでしょうか。見たところ大体の人があるみたいですから。それに私も一応能力ありますし。」
「そうなのか…」
「……これくらいでいいかしら?」
紫の方を見てみると、服が山積みになって置かれていた。
「好きなの選んで着ていいわよ。」
「どこからこれだけ持ってきたんだよ…」
「秘密よ。」
「それじゃ着替えるか…」
「手伝いましょうか?」
「一人で大丈夫だ。…それより着替えにくいから出ていってもらえるか?」
「わかりました。しばらくしたらまた来ますね。」
そう言って藍は部屋を出て行った。
「紫。お前も出ていってもらえるか。」
「やっと名前で呼んでくれたわね。いいじゃない、減るもんじゃないし。」
最初のコメントを投稿しよう!