第一章

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「あんたらも妖怪なのか?」 「私達は妖怪と言うより式神ですよ。」 「式神…?」 いまいちよく解らなかった。 「簡単に言うと、主に仕える使い魔みたいなものです。」 「ふ~ん…あんなのが主なら仕える方も大変だな。」 「案外楽しいものですよ。」 「そうなのか…それより俺の服はどこだ?」 今まで下着一枚の状態だったので気になっていた。 「あるにはあるんですが…かなり酷くて着られる状態じゃないんですよ‥」 確かに。 あんな森の中ででたらめに動いたらボロボロになっても仕方ない。 「それじゃあ、代わりになる服とかないか?」 「それが‥この家に住んでるのは全員女性なもので、男性用の服はないんですよ。」 「そうか…困ったな‥」 「目が覚めたのね、礼央奈。調子はどう?」 いきなり隣から声がした。 「あんたかよ。いきなり出てくるなよ‥心臓に悪い。」 「せっかく見に来てあげたのに、冷たいわね。それと、私にもちゃんと名前があるんだから名前で呼んで頂戴。」 「紫様!普通に出てきて下さいよ‥」 「別にいいじゃない。それで何かあったの?藍。」 「その‥礼央奈さんの服のことなんですが‥」 「あれだけボロボロじゃ着れないものね~私に任せなさい。」 そう言って紫が手を伸ばすと空間が割けた。 そしてその中に手を入れた。 俺はその光景を呆然としてみていた。 「……俺は夢でも見てるのか?」 「あれは紫様の能力ですよ。紫様は境界を操る能力があるんです。」 「…この世界に住んでるやつはみんな能力があるのか?」 「よくわかりませんが…ある人の方が多いんじゃないでしょうか。見たところ大体の人があるみたいですから。それに私も一応能力ありますし。」 「そうなのか…」 「……これくらいでいいかしら?」 紫の方を見てみると、服が山積みになって置かれていた。 「好きなの選んで着ていいわよ。」 「どこからこれだけ持ってきたんだよ…」 「秘密よ。」 「それじゃ着替えるか…」 「手伝いましょうか?」 「一人で大丈夫だ。…それより着替えにくいから出ていってもらえるか?」 「わかりました。しばらくしたらまた来ますね。」 そう言って藍は部屋を出て行った。 「紫。お前も出ていってもらえるか。」 「やっと名前で呼んでくれたわね。いいじゃない、減るもんじゃないし。」
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