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「着替えにくいんだよ。女に見られてるとな。」
「わかったわ。4分後位にまた来るわね。」
そう言ってまたどこかに行ってしまった。
とりあえずさっさと着替えることにした。
だが、立とうにも立てなかった。
仕方なく座りながら着替えることにした。
「随分といっぱいあるな…」
数多くある服の中から白い長袖のワイシャツと黒いズボンを選んで座りながら何とか着替えた。
「これは…何だ?」
左手の甲を見ると燃え盛る炎のような痣があった。
それを見ているとなぜか恐怖を感じる。
とっさにすぐ傍にあった藍色の手袋をして隠した。
「あら、似合うじゃない。」
目の前にいきなり逆さまになった紫が現れた。
「だから…普通に来いよ‥」
「細かいことは気にしちゃダメよ。左手どうしたの?」
そう言いながら紫は境界の中から這い出てきた。
「何でもねぇよ‥」
「隠しても無駄よ。」
そう言うと強制的に俺の左手の手袋を取った。
「これは…」
左手の痣を見て言った。
「何かわかるのか?」
「残念だけど、何かは解らないわ。」
「そうか…」
俺はまた左手に手袋をはめた。
「でも、とても強大な力を感じるわ。」
「危ないのか?」
「まだ解らないけど…多分危ないわ。だけど、いずれその力が必要になるかもね。」
「まだどんな力か見たこともないのにか?」
「時が来ればどんなものか解るわよ。」
「時が来れば……か‥」
ふと、ある考えが浮かんだ。
「これについて少し調べたいんだが…どこかに図書館とかあるか?」
「あるにはあるわよ。とても大きいやつがね。ただ…」
「何か問題でもあるのか?」
「行ってみた方が早いわね。その傷が治ったら行きましょう。」
「お前を信用していいのか?かなり不安なんだが…」
「大丈夫よ信用しなさい。」
話していると、足音が聞こえてきた。
「入ってもよろしいですか?」
と藍の声が聞こえた。
「ああ。入っていい。」
「失礼します。…紫様いらしてたんですね。」
「居ない方がよかった?」
「そ、そんなことはありませんよ‥」
藍は少し慌てた感じで言った。
「それで、何か用?」
「食事の準備が出来たので呼びに来ました。」
「そう。じゃあ先に行って食べてるわね。」
そう言うと紫はさっさと行ってしまった。
「紫はいつもあんな感じなのか?」
そう言って立とうしたが、右足に力が入らない。
「大体あんな感じですよ。…まだ無理しない方がいいですよ。特に足の傷は少し神経も傷めているので…」
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