『Doll House』

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さて、何処から話をしたらいいのか。 私は『飴屋ほたる』。 19才、専門学生。 身長165センチ、体重46キロ。 見た目はまずまず、中の上――ってことにしておこう。 ふっ、自分で言ってりゃ世話ないわ。 今朝は寝坊に加えて、通学に使ってる電車が人身事故でストップ。 学校の最寄駅に着いた時には、既に1時限目が開始して20分は過ぎていた。 元々単位ギリギリで受けてた授業だから、これでもう崖っぷちだ。 半泣きになりながら、学校まで続くビルの群れをダッシュする。 「もう、最悪っ」 コンクリートを蹴り付けながら、私は思わず悲鳴を上げた。 ショッピングビルのガラスに反射して、私の顔が映ったのだ。 当然すっぴんなのは、まあ、いた仕方ない。 しかーし! この髪は何! 昨日、美容院で掛けたストパーを微塵も感じさせない、この天パ! 2万もしたのに! 首まで伸びた栗色の髪が、それはもう自由奔放にいろんな方へ跳ねている。
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