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目が覚めると、私は四畳位の小さな白木の板で造られた部屋にいた。
自分の寝ていたベッドの他には、ドアの近くにやはり白木の鏡台がある位。
小さな部屋に、小さな鏡台。
窓は無いし、照明も無いけど何故か明るいこの部屋を見渡しながら身体を起こす。
ベッドの軋む音が響いて、私は飛び上がって床に立った。
「あー……びっくりした」
この静けさに、その音は反則だ。
死ぬかと思ったぞ。
死なないけど。
まあ、いいや。
私は気を取り直して、鏡台まで進む。
鏡を前にした途端、さっきの恐怖が蘇った。
そうだった。
私は、鏡の中の私に――
肩を掴まれて気を失ったんだ。
震え出す身体を制止できず、私は鏡から目を逸らした。
そして、ドアに目を向ける。
嫌だな――
何か出てきそう。
いや、絶対出て来るでしょ、これは。
警戒した私は、鍵穴から向こう側を覗く。
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