『Doll House』

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マイクを握った花屋敷さんは、大仰な手振りでいつの間にか丸テーブルに座った人々を煽る。 老若男女、実に統一性のない十人余りの人々が、更に大きな叫びを上げて熱狂した。 「あの……これは……」 「さあ、こちらへどうぞ!」 「いや、でも」 「こちらへどうぞ!」 花屋敷さんは戸惑う私の手を強引に取って、壇上から引きずり落とす。 それから床を勢い良く蹴り進んで、向かいの大扉まで速足で向かう。 私の後を、スポットライトが追い掛ける。 扉の前まで来ると、花屋敷さんは私の手をそっと話した。 私と彼女の動きが、止まる。 スポットライトは扉に固定された。 花屋敷さんの両手が振り上げられ、続いて素早く振り下ろされる。 激しい音が一つ響いて、大扉が口を開けた。 外に広がる景色は―― 私好みの、ポップな配色の―― 「飴屋ほたるの『箱庭』は、『Doll House』! さあ、これを制圧して見事『箱庭師』になれるのか! それでは良い旅を!」 私は信じられない位強い力で背中を押され、『箱庭』に突き飛ばされたのだった。
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