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僕の名前は『さとる』。
父と母と3人で暮らしていた。
平凡な毎日だった。
僕は、母さんがとても大好きだった。
誰よりも僕を可愛がってくれた。
僕のことを一番に考えてくれた。
…でもある日突然、思ってもいなかった恐怖がおとずれる。
母さんと僕は、交通事故に遭った。
病院に運ばれて意識を取り戻したとき、僕の横で母が、ベッドの上で意識を失っているのが見えた。母の周りを、数人の医師たちが慌ただしく囲んでいる。しかしその焦りもだんだんと消え、最後には、母さんの瞳孔を確認し、時刻を告げ、軽くお辞儀をしたあと、その場から立ち去った。
僕は下半身付随になり…
母さんは…
死んだ…。
事故が起こる直前まで、父さんと母さんは喧嘩をしていた。だから僕は、父さんのことが許せなかった。
父さんのせいで死んだんだ。
父さんが、母さんを殺したんだ。
それから僕は、父さんと一切口をきかなくなった。大好きだった母さんを失い、精神が不安定になった。
リハビリも拒否した。
こんな『今』なんて、もう壊してしまいたい。
でも…すがりついていたい…。
いつしか自分を見失っていた。
そして、家に引きこもった生活が続いた。学校
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