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人と会話をしていくにつれ、理解してくれる人たちも増えた。自然と友達もできていた。
しばらく経ってくると、何人かが僕に言ってくる。
「本当のあなたが居る場所はどこ?」
「君本人が居る所へ行きたいんだ。」
…と。
僕に会っても意味がないと言った。
逃げ出したい衝動でいっぱいになった。
感情を失い、そしてまた逃げ出すまでの口実に迷うだけ…。
自分はどうしたいのか、どうすればいいのか、全く分からなかった。
あの頃に戻りたい…。
母さんが居て、一緒に楽しく過ごしていた日々に戻りたかった…。
ちぎれた記憶を辿っていったら、あの頃にだって戻れる…そんな気がした。
僕は、夢を叶えるためにこの星に生まれてきたんだ。僕が幼い時に描いていた、宇宙飛行士という夢。
たまに、泣きたくもなった…。
ある日、ロボットが突然故障した。父は、ロボット専用の修理室へと連れて行く。ロボットはベッドに横になる。すぐ近くにはパソコンが見えた。なんとなく、ロボットの目をパソコンの画面へとアップした。そこには、このロボットにプログラムされている箇所にチェックがされてあった。父さんに気付かれないように、ロボットを操作する。順を追って見て行くと、一番最後にある、『感覚バックシステム』の所だけチェックがされていなかった。僕は考えた。今まで、これがなかったから、色々な感情を自覚することができなかっただけかもしれない。手に入れるための傷みだったらいいと…。そしてチェックを入れた。OKをクリックし、100%になるのを確認した。そして修理も無事に終わった。
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