350人が本棚に入れています
本棚に追加
(本当にあいつ勝手だよな……、)
如月の性格を再び確認して、内心で苦笑する。
(……流石に昨日の夜に出たなら、もうこの近くにはいねぇか)
踏ん切りがついたのかもうどうしようもないと思ったのか解らないが、諦めたように唇を噛んで頭を下げた。
「ありがとうございました。ナースさん」
「いえいえ、私は何も出来てませんから」
にっこりとナースは手を横に振ってつられてお辞儀をする。薫はいくら社交辞令でもここまで謙虚に出来るなんて本心から凄いと感じた。いや実は素なのかも知れないが、それならそれで尚更だと薫は思う。
「そんなことないですよ。本当に助かりました。それじゃ」
薫は別れの挨拶を告げて、病室から出てエレベーターを使い降りる。そして自動ドアを潜(くぐ)って病院を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!