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――昼休み。
薫は屋上で寝転んで空を見上げていた。
「はぁー……、」
その薫を覗き込むように。
「何、辛気くさい顔してるですか椿山くん?」
見事にこってり絞られた屍に女の子が話しかける。
「あぁ、大丈夫大丈夫。ってか、お前誰だっけ?」
屍こと薫は頭を掻きながら、薫は女の子に聞く。
「ひっどーい、もう同じクラスに入ってから、半年も経つのに。西宮杏奈(にしみやあんな)だよ~」
口を膨らませながら、顔を赤くしている。
「わりい、わりい。冗談だっての。西宮」
ニシシッと笑っておどける。
「なんで、椿山くんは、そんなに僕に冷たいんだよ~。僕泣くよ?」
目に手を当てて、うるうると目を滲ませる。
「あ~、ごめんごめん。俺が悪かったから」
慌てて、手を振りながらごまかすが、どうにも泣き止みそうにない。
「うぇっ、うぇ~ん!椿山くんのばぁか~。もう知らないんだよ~」
「マジごめんって、西宮。なんでもすっから、許してくれよ」
西宮の前で手を合わせて、心底反省する薫だか。
かと思うと急に顔を上げて。
「本当にぃ~!?」
と少し濡れた瞳の上目使いで見つめてくる。
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