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「西宮何かと泣くの止めないか? 真面目に俺困るんだが……、」
「うぅ……ごめん。でも今のは嘘泣きだから気にしないで!」
そう言って西宮は笑う。
「お前な……そんなことばっかしてたら、パフェ奢ねぇんぞ」
薫はぷるぷると頭震わせている。
「あぁ~、なくなったら悲しいのは本当だよ。
ほら、なくなっちゃうよ!早く行こうよ」
西宮は薫の手を引き、グイグイと引っ張る。
(……なんか、誤魔化されたな)
そう思いながらも、店にたどり着いてしまった。カランカランという音とともに「いらっしゃいませ!!」という元気のある声が聞こえた。
そして、西宮はすかさず厨房に向かって叫び、聞きに入る。
「すみませーん! 限定20個のラフレシアパフェありますか!?」
その名前を聞いて、薫は、
(うっ……臭いのきつそうな名前だなぁ。それに異常にデカそう)
と思っていた。
そして、厨房から勢いのある声が返ってきた。
「あぁ、あるよ。運が良かったね! ラスト一個だよお嬢ちゃん」
それを聞いて、西宮は一瞬笑顔になると同時に急に暗い顔になった。
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