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そんな椿山薫は現在自宅の部屋の机で奮闘していた。
そう、8月31日の学生なら誰しもが体験したことがある壁にぶち当たっているのだ。
「……あっちぃ、終わんねぇ、課題。
大体なんで家(うち)はクーラー壊れてんだ!
イジメかっ!
この有り余る休みの中で課題をやっていなかった俺に対する当てつけか!!」
薫は暑さのため意味もなくイライラしていた。
窓を見ると、視界が歪み。木に蝉がミーンミーンと唸りを上げて命を輝かせている。
しかし今の薫にそれは眩しすぎるを通り越して、目にすら入れたくないもので、苛々の要因でもあった。
近くの公園でサッカーボールを蹴りながら愉快気に夏休みラストを堪能する小学生に、なぜかお門違いチックな殺意を芽生えさせていたり、いなかったりと精神状態は最悪どころかいつ発狂しておかしくないだろう(薫の感覚的に)。
「えっと、この魔法反射鏡を利用して、
この半径50mに魔法陣を発動させるには、どの角度から何属性の魔法を放てばよいか求めよ。
また、その出力も魔法力学をχと置き求めよ……」
……沈黙する薫。伝わる汗。募る苛立ち。
「解るか~~!!」
そして爆発した。イライラが上限の低いメーターを意図もたやすく振り切ったのだ。
「大体なんだ!
こんなに問題ってのは上から目線なんだ!
意味わかんねぇ!
少しぐらい『解いてくださいお願いします』ぐらい言えばやる気が出るものの!」
……完全な八つ当たり。だが、それぐらいしか薫にはやることがなかった。
「あ~やってられっか!! 気分転換にゲーセンでもいくか!!」
……そして、現実逃避。全く持って課題が進んでいない。
悲しいが、これが薫のいつものパターンだ。
今日も夏休み一回も変わりなく無駄な一日を過ごすはずだった。
あの出来事までは……、
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