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「ハハッ、こりゃ歪みどころじゃねぇーなコレは……、」
薫はそう言いながらも額から汗を出している。
ちなみにこの汗は走ったことによるものではない。
「……コレは
ダークエリア
暗黒虚無が出来てやがる!?」
【暗黒虚無】とはこの世と決して交わることのない別の次元空間のことで、いわばこの世界をコインの表するならば、コインの裏のことだ。
だから、コインの表からは裏を見ることも干渉することも出来ないはずだった……、
しかし何事に例外があった。
お互いの次元空間の力のバランスを崩すような強い力すなわち、賢者クラスのマナ(魔力)同士をぶつけると、次元の歪みの連鎖反応が起こり、やがては暗黒虚無となる。
薫は考えていた。
この有り得ない現実を脳が否定するが、なんとかこの現状の原因を……、
だが、案外その答えは早く出た。恐らく早計ではないことの確信。
ヴゥンという音と共に暗黒虚無が歪み始める。そして、暗黒虚無から一人の男が現れた。
有り得ない場所が出てきたこの男こそがこの事件の元凶だろう。そしてその男は動き出した。
「やぁ、少年こんなところで奇遇だね」
その男は冷酷な紅い瞳でこちらを見ながら、手を上げて不適に笑った……、
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