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「なるほど、自分と相手の空間に別の次元を作り出し、攻撃を異次元に飛ばし身を守る『守護結界』ですか……やりますね」
夕凪はあくまで冷静に状況を判断する。
そして……、
「なら、これならどうですか?」
さっきよりも速い詠唱で術式を発動させる。
「全てを喰らい尽くせ『ダークマター』」
指輪が光り、今度は黒いもやもやとした煙が薫に襲いかかる。
「っけ。何やってもこの『守護結界』には無意味だよ!」
薫は自信からか余裕の笑みを浮かべている。
「果たして、そうでしょうか」
そして、『ダークマター』が『守護結界』に衝突するとバリバリと音を出して、お互いに消滅してしまった。
「なっ!? 打ち消されただと!?」
薫はあまりにも意外で驚きを隠せない。
しかし、夕凪は冷静に説明を続ける。
「この『ダークマター』は触れるものなら、全てを喰らい尽くします。例えそれが、異次元でもね」
(……やべぇな。あんなんがあったら、こっちからも攻撃のしようもないし、守りようがねぇ)
薫はただただ自分の置かれいる状況に焦りを感じていた。
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