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「さて、どうしますか?命乞いぐらいさせる猶予は与えますが」
夕凪は指輪を磨きながら、そう告げる。
「ハッ、舐めんなよ! まだこっちは何もしてねぇんのに決めつけんな!」
薫は睨みつけながらも、杖を夕凪に向かい差している。
「あなたは馬鹿なんですね。分かりますよ」
「うっせぇ! これならどうだ! 地獄の炎を世に降臨せよ。『プロミネンス!!』」
薫は杖で空間に魔法陣を描くとそのなかから、大きな炎を放出させた。
「ハッ、その程度。喰らえ『ダークマター』」
夕凪はそう言って、自分の周りをダークマターで囲い身を守る。
「いっけぇー!!」
薫はより強く魔力を込めて、炎獄を放出する。
「無駄だというのが、分からないのですか……、」
夕凪は攻撃の無意味を伝えるが……。
「だから、さっきからうるせーんだよ! 何かやる前から諦めてたら、何も出来きゃねぇ!!」
薫は感情をあらわにしてそう叫ぶ。
「理解し難いですね」
夕凪は目を瞑り、指輪に魔力を更に込めた。
「出来もしないことに向かうのは勇気でもなんでもない。ただの無謀というんですよ。
そんな死にたいんならさっさと死ね」
夕凪が今までになかったほどに言葉を強くして睨みつけている。
そして、『ダークマター』の魔力の増加により、『プロミネンス』が徐々に押されて喰われている。
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