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「……まさか『守護結界』を私に使うとはな……」
夕凪は苛立ちで髪をかきむしりそう呟く。
「そっ! よく考えれば、光と闇は相対的なもの。闇で消えるんなら。光でも消えんだろ」
薫はまたもやニシシッと笑う。
そして、ひらっと手を振り。
「じゃあ、地獄でまたな」
そう最後の別れを告げ。遮るものなくなった『プロミネンス』は夕凪を包み込んだ。
「くっそがぁっー!!」
獄炎は悲鳴を飲み込み辺りを焼き殺した。
……まだ、辺りは煙や火の粉など舞っている。
(……あぁ、疲れた。今回はリアルにやばかったわ。大体なんだったんだあの男は……)
そして、薫は杖をしまい背を向けて帰るところだった。
しかし…………、
「ガハッ、待てよ! クソ餓鬼が」
黒焦げになった夕凪が血を吐きながら吼える。
「嘘だろ……!? あんたなんで立ってんだよ」
冗談だろっと苦笑しながら振り返り、再び杖を構える。
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