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薫は吹き荒れる爆風の中、姿勢を低くしながら、左腕で視界を遮りぎって、飛ばさないように身を守っていた。
だが、既に瞳は光を失いかけていた。
自慢の一撃を見事に打ち消された上に
圧倒的な破壊力、それを目の当たりにして、手を失っていた。
(……ありえねぇ。あの教官ですら息を巻いた俺の最大魔術……だったのに)
薫は何か手はないのかとほぼ役に立たない脳のスペックをフル活用して模索するが……、
「無駄だよ。餓鬼。この魔導機械に勝つ術はない。勿論逃げる術もな」
無情にも夕凪はそう告げると薫に向かい手を伸ばして、魔導機械に攻撃の命令をする。
「放て『グランレイ』」
命令と同時に魔導機械の口が開き、何重にも重ねられた銃口のようなものが伸びて、キュイインという陽炎のような光を集約し、そして漆黒の一線が走る。
「くそっ!汝我を包み込め『守護結界』」
「無駄なんだよ。いい加減解りな!!」
夕凪は黒い笑いを浮かべて、もはや貴様の行動に意味はないと伝える。薫はなんとか、身を守ろうと魔力を最大放出して魔術を発動するが、ほぼ無いに等しかった。
「ぐぁあ~あぁ!!」
断末魔が荒廃した街に響き渡る。
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