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「ちっ、てめぇもしぶといなぁ。さっさと死ねば楽だろうに」
夕凪はそう言って笑いながら、額に手を当てながら、蒼空を仰ぐ。
「……ゴフッ、ガハッ、ハッ……ハッ……ハッ」
薫は床にひれ伏し、正に虫の息であった。
攻撃当たる瞬間に『守護結界』を盾に真横に飛んで攻撃を避けたのだが
その『守護結界』とぶつかった『グランレイ』が拡散して周りを飲み込み、その爆風にあてられたのであった。
(……もう無理だ……あんな化け物……)
動かない手足をなんとか、無理やり動かして、這いつくばって逃げようとするが
もう既に『魔導機械』の足音は近づこうとしていた。
「殺せ『魔導機械』
奴に安かな死を」
命令を受けた『魔導機械』直ちに重い足音を立てて、大地を踏み壊していく。
ズシンとズシンと踏み出す一歩、また一歩が薫の死のカウントダウンを告げる。
(……やべぇ……死ぬな)
薫の瞳はもう一筋の光もなく、ただ絶望に覆われていた。
足掻いていた手足ももう動かない。
ハハッともう諦めた笑いと同時に走馬灯を浮かべていた。
(……想えば、悪くない人生だったよな……)
そして、思い出に浸りながらも、確実に迫る重厚音とともにこの世との別れの覚悟を決めていた。
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