ー2つの出逢いー

12/13
前へ
/233ページ
次へ
 そして……その時はやってきた。  耳元でガッシャンという音が聴こえた。 フシューフシューという何か熱を逃がす音と、グワングワンとエンジンのタービンのような音が聴こえてきて、自分の死を明確に実感させた。 「餓鬼。さすがに最後に一言ぐらいは言わせてやるから。早く言えよ。もう私は気が長くないですよ?」  皮肉にも、敵に情けをかけられて、最後に薫は呟いた。 「くそが………くた……ばれ」 「そっか、残念だよ。 じゃぁ、死ね」  夕凪は静かに破壊を命令する。 ウィィンという高速で回転する機械音ともに、腕が振り上げられた。  薫は全てを受け入れ目を瞑った。そして、目の裏は漆黒の闇に覆われた。風を切り、振り落ちる腕の音が聴こえる。 刹那、ドッカーンと言う音が聴こえて、大地が揺れた。 「Goodbye」  絶望の一振りのあと、夕凪は終演を告げ、こんなものかと落胆の意を浮かべた。
/233ページ

最初のコメントを投稿しよう!

350人が本棚に入れています
本棚に追加