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(……、)
薫は漆黒の闇の中で意識が朦朧としている。
(……ここはどこだ、)
自分の場所を確認しようとしたが……、何も見えない……何も聴こえない。
(そっか……ここがあの世なんだな……)
薫は自分の死を実家して、悲しいような泣きそうなそんな顔をした。
(……やっぱ、地獄かな。どうせなら天国で美味いもんを鱈腹食べたいとこなんだがな……)
そんな、限りなく後ろ向きな未来?予想図を描いていると自然と目の前にあるものが浮かんできた。薫はぼんやりしたそれを目をこなして、凝視すると段々はっきりしてきた。
(……これは、碧い光?)
漆黒の先に唯一、稟として碧い光が浮かんでいた。
(……へー、あの世に色なんてあったんだ)
と無意味に関心していると何かが聴こえてきた。
「……い……じょ……ぶ……き……る?」
何か言葉が断片的に聴こえる。なんだと思いながらも、耳を澄ませる。すると……、
「………きなさい、いい加減起きなさいよ!お眠にはまだ早いわよ!」
気がつくと、目の前には光が広がり
最初に映ったのは碧色だった。
「えっ……なんで……!?」
「やっと起きた! いい加減起きないからぶん殴るとこだったわ。また会ったわね薫」
碧い髪を靡かせながら、そう言って笑った。
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