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――その少年に振り落とされるはずの脅威は、碧髪の少女が背に構える純白の日本刀により防がれていた。
「なん……で、いんだよお前?」
薫はまだ、目の前の現実を受け入れらずにいた。
完全に意識を闇に任せて、もう戻ることはないと思ってた……、
なのに、気がつくと目の前には碧色が広がり助けられていた。
俺はまだ明日(さき)を見ることが出来るのか。その想いが芽生え、自然と笑っていた。
「ハハッ、礼なんて言わないからな。如月!」
薫はそう言って手を伸ばす。
「当たり前でしょ!? 私はあのときの借りを返しただけなんだから!」
碧髪の少女こと、如月も笑いながら、伸びる手を掴む。
薫が立ち上がると、刀にかかっていた重みが消え、『魔導機械』は足を引いていた。
「へぇ、死に損ないに釣られて探し物が見つかるとは思わなかったよ。私はついているのかな」
夕凪は乱れた服を直しながら、如月を見て、口角を上げている。
「あんたもしつこいわね!大体一般人まで巻き込んで、何やってんのよ!」
如月は振り返り、白刀の切っ先を『魔導機械』に向け、眼光を鋭くさせる。
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