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……そしてゲームセンター。
日々の辛い日常から放たれようと若者達が集まりたむろっている。
「うが~ぁっ!! なんで外れんだよ! ボケッ!! また俺のメダル喰いやがって!」
そして、ここに更に現実の厳しさをつけつけられている者もいる。
(……本当についてねぇ)
薫は我ながら、自分の運の無さを嘆いている。
「しゃーない。本屋にでも行って気分転換するかな」
……この男はまったく課題をやる気はないのだろうか。
「うゎー、雨かよ。またしてもついてねぇ」
空を見上げると薄暗い鼠色の一面からポツポツと雫が地面へと向かっていた。
(傘持ってきてねぇし、雨宿りをちょくちょくしながら、本屋まで走るしかねぇか)
薫は安直な考えの中、走ることを決心していた。
(とりあえず、あそこのバス停まで走るか)
次第に強くなる雨の中前を向くのが辛く、下を向きながら必死に走る。背中に雨の冷たさを一辺に背負いながら、なんとかバス停の屋根まで走ることに成功した。
「ふぃー、なんとか、ここまで来たな。帰りは近くのコンビニでビニール傘でも買わねぇとな」
息も整そうとするその直前あることに気がついた。
バス停の向かい側、目の前の木に碧髪の少女が背から持たれかかっている。
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