【The first parts】     ー雨の中の少女ー

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 薫は不思議に思いながら単純にこう思った。 「こんな雨ん中何やってんだあの馬鹿は?」  見知らなぬ相手を馬鹿にするが…… 「……ちょっと、あんた聞こえてるわよ。 普通雨の中女の子が濡れてたら…… 『大丈夫ですかこの傘を使ってください!』っていうでしょうが!?」 「俺はそこまで優しかねぇし、大体俺も傘持ってねぇって見れば分かんだろ。 ってか、その前にこの雨ん中なんで聞こえんだよ?」 「あんた馬鹿? 思念を読んだに決まってじゃない。あんた念波強すぎるから、筒抜けなのよ」 「はっ? 雨ん中傘差してない奴に馬鹿呼ばわりされたかねぇ~よ」 「あんたも一緒でしょ!」 「グッ……」  まさに正論を言われ、言い返せない薫。 「ってかさ、お前もそんなとこ居ねぇでこっちで雨宿りしろよ。風引くぞ!」 「ハッ、馬鹿に心配されるよ……うじゃ、私も落ちた……もの……ね」  そう言って苦笑する少女。 「なんだと!?」  そして、当然の如くキレた。全く回路の短い脳だ。 「……、」  急に俯いて、少女は黙ってしまった。 「なんだよ? 急にシカトかよ? 愛想悪すぎんだろ。ってかお前早くそんなとこいないで来いって」 薫はバス停の屋根から出て打ちつけるような雨を受けながらも、少女の傍まで行き、肩を掴む。 するとヌルッという感触が手に伝わった。
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