下手くそな絵

1/9
前へ
/9ページ
次へ

下手くそな絵

大学進学を期に住み始めたボロアパートは、玄関のドアの鍵までボロだった。 「カズ兄、ママがシチュー食べてって」 このガキはノックもせずに、玄関のドアを開けて、俺の部屋に土足でズカズカ入って来る。 俺は差し出された鍋を受け取りながら 「あぁ、サンキューっておい!いつも靴脱げって言ってんだろっ」 「だって、くつ下汚れるのイヤだもん」 「なっ!人の家をゴミ屋敷みたいに言いやがって・・・、このヤロ~!!」 「キャー(笑)」 ガキをヘッドロックして、頭グリグリ。 「キャー、キャー、ごめん、ごめん!(笑)」 やっと離すと 「は~、もう少しでカズ兄の加齢臭が移る所だよ」 「俺はまだ22だ!」 「中学生からみたらカンペキオヤジだよ(笑)」 「テ~メ~!!!」 俺が捕まえようとすると、キャー、キャー、笑いながらドアから逃げてった。 ガキはこのボロアパートの大家の娘で、隣に住んでる。勝手になつかれてるが、妹のいない俺は悪い気はしない。 講義を聞かずに寝ている俺の肩を誰かが叩いた。 見上げると、笑顔のエリがいた。 「カズ君、今日学校終わったらどこ行く?私カズ君ん家見てみたいなぁ」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加