モバゲータウン

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『バレたか……へへっ』   ユカはペロっと舌を出し、イタズラな笑みを浮かべる。       俺のハンドルネームは「雲酷斎」   ユカは「春☆姫」       元々はユカが「モバゲータウン」にハマっていて、毎日携帯と睨めっこしているのを、俺がたしなめていたのだが。   『面白いからケンちゃんもヤってみなよ』      と……。   勝手に俺の寝ている隙に登録したのだ。     最初は出会いサイトみたいなモノだと思っていた俺だったが。       見事にハマった。     「モバゲータウン」にも。   そしてユカの策略にも……。   『まずは日記でも書いてみたら?』       実際の日記など書こうと思った事すらない俺は、何を載せたらいいか見当もつかない。     『酔っ払ったら爆笑ネタ話してくれるじゃん! ああいうのがイイよ』     ユカのアドバイス(?)に、その日の出来事をおもしろおかしく綴る事にした。       しかし。       日記を綴ってはみたものの、他人のページを訪れる訳でもなく、ただ書きっ放しの状態だった俺に、誰もコメントなどしてくれるはずもない。     こんなモン何が楽しいのやらと思っていた翌日……。     何気なく昨日の日記を読み返していた。     我ながら面白い話だな。一人にやける。外では絶対出来ない行動だ。           あれ?   ある事に気付いた。       閲覧(1) コメント(1)     おおっ!?   >>面白い日記ですね😆夜中に大爆笑して彼に怒られました💧ファンになりました😍また見に来ます❤       いやぁ……。   それ程でも!     この時の喜びが、毎日の更新の力になっていく。   日記を更新する度に、同じ人物がコメントをくれた。   俺からも何回かコメントを返す様になったある日……。       その人物から「ミニメール」という「モバゲータウン」の中でのみ許された、個人的な簡易メールが送られてきた。       友達希望。       「モバゲータウン」ではこの宣言をお互いの合意として「友達」となるのだ。     正直嬉しかった。       もちろん答えはOK! 
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