濁流

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『必ずチャンスは来る、今は腐るなよ』     俺は迷っていた、部長に大阪で木戸支社長が言っていた事を話すか否か。       胸ポケットで携帯が震える、ユカからのメールだ。   >>何か体調悪いから、先に寝るね。ケンちゃん、愛してる。     ああ、ユカに何て言おう。       『よしっ! もう一件行くぞ!』     本当は帰りたかったが、昇進を逃したショックを、家に持ち帰りたくない気分だった。   それに、まだ大阪での事を部長に話すか迷っている。       『よっ! ママ、彼に綺麗ドコロ付けてやってくれ!』     (ははん……)   この女が部長のお気に入りのママか、確かにイイ女だ。俺に着いた女もなかなかの美人。   ユカやあおい程ではないが。       あれ?   何でユカとあおいを同レベルで考えてるんだ?   ユカの事をこんなに愛してるのに。       『初めまして。今日は何件目ですか?』     うんざりする質問だ。   不毛な自己紹介をしなくちゃいけないと思うと、帰りたくなる。     30分もすると、部長は俺の事など忘れてママを口説いている。     ああ……この女と話す位なら、ユカの声が聞きたい。     いつからだろう。飲みに出てもユカの事ばかり気になる様になったのは。       それにしても……。   やはり、今回俺が昇進出来なかったのは、木戸支社長の企みなんだろうか?       大阪かぁ……。   伊東の下でやるくらいなら、それでもいいか。     俺に着いていた女が、トイレに立っている間、携帯を開く。   ユカの板は相変わらず盛り上がっていたが、もう寝るというメッセージで締められていた。     俺、最近ユカの板ばっかり見てるな。           何だか、頭が痛くなってきた。
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