濁流

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あれ? ここはどこだ?   う~ん……そうか、寝てしまったんだ。   飲んだ後、部長とサウナに来たんだっけ。     (ん? うわっ、2時過ぎてる)     部長は?       ああ……。   ママとアフターするのに、時間潰しでサウナだって言ってたな。   俺を置いてけぼりにして、自分はお楽しみか。       一度伸びをして、俺はロッカーに向かった。   ユカの奴、体調悪いって言ってたけど、大丈夫かな?   すっかり遅くなったが、帰らなきゃ。       サウナを出て、タクシーを拾い、家に向かう。   大阪での事は、結局部長には言えず終い。俺が昇進出来なかった事には、木戸支社長の意思が働いているのだとしたら……。   部長に相談するのは、果たして正しい選択なのか迷う。   寝ぼけた頭じゃ、冷静な判断も出来ないしな。       家に着くと、ユカはやはり寝ていた。   いつもは、どんなに遅くても起きて待っているのだが、余程体調が悪いんだろう。   スースーと寝息を立てて、熟睡している。       今更ながら……可愛いな。     コイツも25……。   俺みたいなオッサンの何処が良いんだろう?   何と言うか、もっと若くて格好良い男をいくらでも選べるだろうに。      『う……うう~ん』     あ。     『ケンちゃん、お帰りなさい……』     『悪ぃ、起こしちゃった?』     『うん、起こしちゃった』     『ふふ、俺ももう寝るから』     ユカに軽くキスをしてから、スーツを脱いだ。   ベッドに潜り込むと、すぐにユカが抱き付いてくる。   ドレッサーに置かれたユカの携帯が、点滅するのを眺めながら俺も眠りに着いた。       …………。       ん?       あれ?       うわっ! 寝坊だっ!   『おいっユカっ! 何で起こしてくれないんだよっ!』       ユカ?       リビングに飛び出すと、ユカは何故かボーっと窓の外を見ている。     『おいっ! 寝ぼけてんのか? 俺はもう行くからな!』     『ケンちゃん……』     『あ? 間に合わないっ、帰ってからにしてくれっ!』       ユカが呼ぶ声に振り向きもせず、俺は家を出た。
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