24人が本棚に入れています
本棚に追加
「それに一目惚れしたって自分で言ってたし…」
思い出すように口元に指を当ててにやける良子は至極楽しそうだ。
「あ…あの時は気が動転してて…それで…っ」
自分の発言に今更羞恥を感じたのか顔を真っ赤にして反論するも完全な否定が出来ないうららが口ごもっていると教室の扉がガラリと開いた。
「やけに楽しそうね、廊下にまで声が響いてたぞ?」
そう言いながら明るい顔で入ってきたのは保険医で家庭科部の顧問でもある星丘でねだ。
「楽しんでいるところ悪いが、今日は新入部員が入ったんだ」
おいで、と手招きされると同時に勢いよく入ってきた少女を見た良子は目を輝かせ顔を真っ赤にしていたうららも思わず呆気に取られる。
「龍季!?」
「亀ちゃん!良ちゃん!久しぶりーっ!」
「新1年生の紫呉龍季…って、何だ二人ともこの子を知ってるのか?」
「僕達、幼稚園の頃からの幼馴染みなんですよ」
不思議そうに尋ねてくるでねに良子が答える。
よくよく考えてみれば自分達が高校2年生になったのだから去年中学3年生だった龍季は高校1年生になるのは当たり前だ。
最初のコメントを投稿しよう!