零壱.語り継がれなかった物語

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龍虎(リュウコ)、貴方宮に行かなくていいのですか?」 「へ…?」 「寝坊ですよ」 雀が鳴き、陽射しが強いことに気が付くと、俺の頭は一気に覚めた。 「なんで起こしてくれなかったんだ!?」 「何度も起こしましたよ。それよりも3年後には元服も控えているのですから、もっと自覚を…」 「行って参ります!!」 「あっ、こら、朝の食膳は?」 「今日はいい!」 母の小言を聞いている間に支度をして宮へ向かう。 俺は今日から同い年の姫の護衛に就くことになっている。 宮中ではあまり評判が良くないらしい…。 いつか出世して大臣になりたいんだけどなぁ…。 とにかく走った。 宮中に参内すると、お偉いさんのじじいに随分と怒られた。 まだぶつぶつと言っていたが、なんとかその姫の父親、藤原道長様の所まで案内してもらった。
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